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これは実物資産の代表である不動産が、最新の金融テクノロジーと金融的機能によって最先端のデリバティブ取引の対象に組み込まれることを意味します。 アメリカでは、不動産取引の裾野が広がるのを歓迎する見方と、反対に不動産デリバティブがいまのマネーゲームをより過熱させるのを危倶する見方の両方が指摘されているようです。
ここでアメリカの先物市場・オプション市場について説明しておく必要があるでしょう。 アメリカには9つの商品・先物取引所と、5つのオプション取引所があります。
先物市場のシェアは、前述のCBOTとCME(シカゴマーカンタイル取引所)でほぼ8割、オプション市場ではCBOEが約7割を占めています。 先物取引は、ほぼシカゴの独占状態です。
CBOTは世界最大の先物取引所として知られていますが、主力商品は何といってもアメリカ30年物国債先物で、CBOTの売買高の半分以上を占めるといわれています。 またCMEは、日本でもおなじみの日経平均先物をはじめS&P500や主要各国通貨の先物市場として知られ、さらにCBOEには、S&P500の株価指数オプションやソニー、日立の株式オプションが上場されています。

最近はこれら既存の商品に加えて、かつては信じられなかったような先物商品の取り扱いも始まっています。 不動産がその代表ですが、他にも電力や災害保険、穀物収穫量、それにガス排出権などの環境関連の先物まで幅広く取引されています。
98年からは、CBOTが先物商品の夜間電子取引(プロジェクトA)を日本でも開始すると伝えられています。 日本の外為法改正の動きを受けたアメリカ先物市場の日本進出第一弾です。
これによって、日本の投資家もCBOTを通して金融先物をはじめ、不動産の先物に投資することが可能になります。 特に、97年10月に上場したアメリカのダウ平均先物は、投資単位が手頃なため個人投資家の人気を集めていまアメリカの金融、不動産市場は、ともに吃るようにその市場エネルギーを増強させています。
特に、現物の取引市場では証券化の手法を導入して市場の流動性を高め、先物・オプション市場では本格的なデリバティブ取引を始めようとしています。 私は、アメリカの金融市場は、ラスベガスにいくつもあるカジノみたいなものだと思っています。
現物の金融取引を行うウォール街や、あらゆる先物取引に長けたシカゴの金融市場は、まるで24時間ノンストップでギャンブルに興じるカジノの集合体そのものです。 数ある金融商品は、さしずめスロットマシーンやポーカー、もしくはルーレットみたいなもので、違いがあるとすれば投資活動という大義名分があるかどうかだけです。
ここまで発達した市場は、それがマネーゲームなのかそれともギャンブルの類なのか判断が難しいところです。 ひるがえって日本の金融、不動産市場を見ますと、およそアメリカで展開されているような流動性豊かな市場機能は持ち合わせていません。
アメリカのような豊富なバリエーションがないかわりに、証券化やデリバティブを使った、行き過ぎた取引もできないのが実情です。 したがって、日本の不動産の売買といえば、必ず現物の引き渡しを伴う実需の取引に限定されると思われがちです。

外国人投資家がどんなに日本の不動産をカラ売りしたいと思っても、肝心の日本にその市場機能がなければ、投機的な仕掛けはできないだろうと日本人は思っていました。 しかし、その見方は大きく間違っていたのです。
実は外国人投資家は、日本の銀行株を大量にカラ売りすることによって、日本の不動産も同時にカラ売りしていたのです。 いや、むしろ日本の不動産をカラ売りするために銀行株をカラ売りしてきたといっても過言ではありません。
それぐらい外国人は、日本の金融システムがいまだに土地本位制のうえに成り立っていることを確信しています。 日本の不動産の売り叩き、銀行株のカラ売りという構図は、実はまだそう多くの日本人に認識されているわけではありません。
ほとんどの日本人は、日本株が売られるのは日本経済の具合が悪いからだと思っているようですが、実際はそうではないのです。 日本の株安は、日本の不動産を大量に担保に抱え、支配権を持っている銀行の株式が、不動産の代わりに売り浴びせられているとみるべきです。
地価の先安観が原因で売られるのは、銀行株よりも不動産株ではないかと思われる方も多いと思います。 現に97年10月に大暴落した香港の株式市場では、不動産株が最も売り叩かれましたが、その理由は香港の株式市場の7割が不動産株で占められていたからです。
外国人投資家は、香港の地価バブルが崩壊するのを先読みして不動産株を売り叩いたのです。 しかし、日本株の場合は、カラ売りできる上場不動産株の銘柄数が少なく、シェアも低いという事情があります。
カラ売りの対象は、どうしても土地担保金融をやりすぎて失敗した銀行株に向かわざるを得ません。 いまの日本で、実質的に土地を支配し、かつ抱え込み過ぎて具合が悪くなっている筆頭の業界は銀行なのです。
日本の主要銀行株は、明らかにバブル崩壊後の最安値に向かって再下落を開始しましたが、97年9月以降は急激にその下げ足を早めています。 特に香港発の世界連鎖暴落とS証券の倒産が重なった2月上旬には、上場来安値を更新する銀行株が相次ぎました。

いまだに銀行株が際立って下げているということは、日本の不動産の先安感が再浮上してきたことを表しています。 98年にかけて日本の地価はさらに大きく下落する可能性があります。
日本の不動産市場がローカルで閉鎖的な市場だと安心しているうちに、今後も外国人投資家は自信を持ってカラ売りを仕掛けてくるでしょう。 金融の自由度が拡大すれば、不動産といえども間接的に売りを仕掛けることはいくらでもできます。
それが世界の金融の常識というものです。 しかし、カラ売りには必ず買い戻しが伴います。
さんざん売られた銀行株すなわち不動産も、ある程度下がったところで必ず買い戻しが入るはずです。 これはカラ売りのセオリーです。
したがって日本の不動産が下げ止まらないと悲観することはありません。 下がりきったところで買い戻す動きに乗ればいいのです。
ただし、いまはまだその時期ではありません。 不動産は、カラ売りを仕掛けるタイミングよりも買い戻すタイミングの方がはるかに難しいのです。
それにしても、これだけ日本の不動産がカラ売りされているというのに、なぜ日本のマスコミは、外国人投資家が日本の不動産を買い始めたなどと浮かれた報道をするのでしょうか。 私は、日本の不動産を本当に買いたがっているのはカネあまりで困っているアジアの投資家だけで、それも近いうちに自国のバブルがはじけて日本から撤退するだろうと言い続けてきました。
案の定日本の不動産にいち早く投資した韓国や香港、シンガポールの投資家は、いまではまったく音無しの構えです。 逆に青い目の投資家は、銀行株のカラ売りをとおしていまでも日本の不動産を売り続けているわけですから、まだまだ日本の不動産に本格投資するつもりなどないはずです。

もしも外国人が日本の不動産を買いに入るときには、銀行株は下げ止まるでしょう。 銀行株は、ある意味では日本の不動産市場のベンチマークなのです。

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